人間の体の中に埋め込まれるICチップ。現在はほとんどが認証に使われるものみたいですが、これを意図的にコンピュータウイルスに感染させる実験が行われたそうです。
結果、認証システムなど、感染した人間以外のシステムを麻痺させることができるみたいです。これを応用することで、例えば、ICチップを埋め込んだAさんとBさんがいたとして、Aさんが感染したコンピュータウイルスによって、BさんのICチップも感染する、ということだって考えられます。
これだけを聞くとSFかな?とも思えますが、本当にファンタジーなお話でしょうか?
認証に使うチップだけではなく、例えば、ペースメーカー。これもより高度にプログラムによって制御されるようになります。体の外ではなく、鎖骨付近、体内に埋め込まれるものです。
他にも、視覚や聴覚を補う機器もより高度になっていきます。そして、インスリンポンプ。単に決められた単位時間に決められたインスリンを放出するだけでなく、時間帯に合わせて放出されるインスリンが増減されます。近い将来、その時の血糖値に合わせてインスリンを増減するようになり、食事のたびに自分でボタンを押す必要すらなくなるでしょう。
まさに、人間が生きる上で高度な制御を必要とするICチップやそれに類するものへの依存度は高まるばかりだと言えるのではないでしょうか?
現在は普及率が低く、機器も高度ではありません。普及率が低いものはコンピュータウイルスの標的になりにくいのでそれほど危機感もありません。しかし、特定のシステムへの攻撃の踏み台としてはそこそこ狙い目になる気がします。思考し、自律的に移動するICチップとなりえます。
クローズドループポンプが普及する頃、人間はその体内に複数のチップを含むシステムを持ち合わせている可能性があります。例えば、住居設備へのログインを司るチップ。防犯設備と空調などと組み合わせると、独居老人でも快適で安全な生活が可能になるかもしれません。
こういうコンピュータウイルスができたとしたらどうでしょうか?インスリンのポンプを制御し、インスリンを急激に放出する。対象者が1人暮らしであることや現在眠っているのかどうかなどはセキュリティーシステムのログから分析すると割とわかりやすいです。血糖値の急激な低下をセンサーがキャッチしても、フィードバックできないようにブロックしつつ、インスリンを更に追加。重篤な状態を察知して自動通報するシステムも妨害。生活反応を調査して普段と違う生活パターンであることを突き止めた外部の管理業者がチェックを入れるも、正当なパターンであることを生活者に成り代わって通知する。感染したシステムからその他の関係システムへどんどん広がるパターンだと、攻撃を開始する前に静かに様々な準備をしている場合には手の施しようもないです。
未来の殺人ウイルスは人体を直接攻撃する生体としてのウイルスではなく、人類が依存しているシステムを侵すコンピュータウイルスなのかもしれませんね。