糖尿病と聞くと、即座に自己管理できない人や生活習慣病というイメージを抱く人が多いのですが、全てに当てはまるわけではないのにな、と寂しく思うことがあります。
結論から言うと、2型糖尿病は生活習慣病ですが、1型糖尿病は生活習慣病ではありません。残念ながら、1型糖尿病は病気になりそうだという前兆もなければ、発生の原因も良くわかっていないため、発生を予防するとか治すとか、そういう概念がありません。食事や運動などの生活習慣の悪さから発症するものではないので、本人の意思でどうにかできるものではありません。よって、生活習慣病ではないのですから笑いながら、「贅沢病だよね!!!」なんて言われるとあまり良い気分はしません。知らないから言ってしまうだけでしょうから、そんなに悪意はないでしょうが。
避ける方法も治す方法もないと聞くと、誰でも絶望的になりそうです。僕もてっきり2型糖尿病だと思っていたので、「食事とか運動とか強制されちゃうんだろうな・・・頑張らないとな・・・。」などと入院中に思っていたわけですが、検査の結果1型糖尿病だと告げられた瞬間にやっぱり絶望感はありました。放置したら短期間で死んでしまう病気ですから。
とはいうものの、20世紀前半にはインスリンについての研究が進んだために、そうそう簡単に死んだりしない病気になりました。治療の方針は「すい臓が分泌できなくなったインスリンを注射で外部供給し続けること」です。つまり、一生注射しなければ生きていけないとも言えますし、注射さえしておけば生きていけるとも言えます。絶望していても生きていく上でメリットはありませんから、とりあえず生きていけるんだということで明るく考えることにしました。
このインスリン注射に依存した状態は、生活習慣病ではない1型糖尿病にとっては必須の状態です。1型糖尿病の全員が注射や専用のポンプを使ってインスリンを供給しなければ生きていけません。食事をどんなに工夫しようが、どんなに激しく高負荷で長時間の運動をしようが、それでは一切解決できません。
同じ状況として、生活習慣病である2型糖尿病で病状が進行して食事や運動では既に解決できないほど悪い状態になった場合の最終手段として注射が処方される場合と、すい臓の負担を一気に解除するために処方・・・つまり、2型糖尿病の発症初期だけ利用する場合があります。世間で多く知られているのが前者だけだったりするので、1型糖尿病や2型糖尿病発症初期の人も全部含めて「インスリン注射している人はその内死ぬ末期患者かつ節制できないダメな奴」くらいに思われていたりします。
医者や看護師みたいなプロでさえ、そう思っているのがいます。だから、世間一般の人がそう思ってしまうのも仕方が無いことです。それだけ実際に自己管理できないダメな2型糖尿病患者が世間には溢れ返っているということですから、同じ道具を使っている1型糖尿病患者も同一視されることは最初からそう理解しておく方が賢いと考えています。
というわけで、僕は本当に必要最低限の人にしか自分の病気のことを告げていませんし、注射や血糖値測定器などのデバイス類を使うところはもちろん、その所持さえも見られないように気を付けて生きています。コソコソしているようにも思いますが、変に勘違いされて不当な評価を受けるくらいならこっちの方が少しはマシだと結論付けました。
(2型糖尿病の一部の人に対しては大変嫌な、失礼な書き方ですが、同一視されたくないという考え方をしている以上、これが正直な気持ち、正直な書き方です。)